第197章 回帰
「ううん、いや、駄目だ。ナナは可愛い子供と幸せに暮らしてくれるのが一番だ……。これは私たちが、なんとか……しなくちゃ。――――どう見るリヴァイ、この無茶苦茶な作戦を。」
「――――まだ粗削りの概要しかねぇから何とも言えねぇが……、式典の襲撃も軍港の破壊も……失敗すれば数日後にはこの島が火の海になる。そんな危険を孕んでる。――――失敗すりゃあ……この島の悪魔を根絶やしにする格好の理由ができちまうってことだな。」
「そう……だよね……。違うのに……!私たちが模索したい最善の方法は、もっと――――……。」
「対話、か?」
「――――そう、だよ……。」
――――甘いんだよお前は。
いい加減腹を括れと思う心情から、語調が強くなる。
「――――見ただろうが、ユミルの民の保護を訴える団体すらも、この島のユミルの民は例外で淘汰しろとのご意見だ。外の世界にもはや……対話の余地はねぇ。――――支配するか、支配されるかだ。」
「でも!キヨミみたいに……、私たちのことを理解し橋渡しをしようとしてくれる人だっている……!」
「――――ヒィズルの末裔であるミカサがいなきゃ……。この島の資源がなきゃ、成立しねぇ関係にすぎねぇ。」
「――――………。」
ハンジが黙り込んだ。
おそらく胸の内で……エルヴィンに問うている。どうしたらいいんだ、なんで私を団長なんかにしたんだと……。
俺は思う。
エレンの側に……と言うよりも……、むしろこの重責に押し潰されてしまいそうな……団長になってからというもの、以前のように目を輝かして笑うことが無くなってしまったクソメガネの……側にいてやってほしいのは、お前だ……ナナ。
――――それが叶う、はずもねぇが……。
いや、なによりそれをさせたくなくて遠ざけた。
――――と、思っていた矢先の出来事だった。
ナナから届いた手紙に『調査兵団に戻ります。』と、記されていて――――、驚いた。
なんだ?どういう心境の変化か……まさかガキになにかあったのか……?俺はすぐにその真意を問う返事を出したが……、その返答には、『私がそうしたいからです。』という曖昧な理由のみが返って来た。
もうハンジとも話を進めていて……1週間後には、ナナが――――……調査兵団に、戻って来る。