第196章 現実
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リヴァイさんたちが外の世界へ赴いた事に想いを馳せてみる。
「自動車や、鉄道………飛行船……、色んなものを、見てる……?リヴァイさん。」
穏やかな陽の光の下、緩やかな丘で花を摘む娘を見ながら……空を見上げる。
「りばいさん?」
「ふふ、そうだよ。今頃……リヴァイさんはね、遠くの国の色んなものを……見てるの。」
「おかぁしゃんは、いかない?」
「――――行かないよ。あなたと一緒にいる。それにね、お母さんの分までリヴァイさんが見て来て……教えてくれるから。」
柔らかな髪を撫でながら、どこまで理解できているかな?と思いながら……それを話すと、娘は大きな瞳を私に向けて、満面の笑みを見せた。
「りばいさんに、ありがとうね!」
「うん、そうだね。ありがとうって言わないと……。」
――――外の世界への憧れ。確かにあった。
……でも、私はこの子と過ごす時間を大事にしたい。
だから……ここから想いを馳せよう。
なんて平和な日……このままこの平和が、この子が天命を全うするまでせめて……続けばいいのにと、身勝手な願望を描いてみる。
――――けれど、その次の瞬間、私の体はビクッと震えた。
――――遠くから歩いて来る、見覚えのある人影。
心臓がうるさく鳴る。
待って、なんで……私の居場所を、知ってるの……?
――――調査兵団から、リヴァイさんからの遣いで来た?
ううん、そんなはずない。
だってリヴァイさんは……エレンにさえ、私の居場所を明かしてない。知っているのは、ハンジ団長とサッシュ分隊長だけの、はずなのに……。