第194章 蜜語
「――――わかってる。でも……本当は、あなたの側で………外の世界が見たい……。」
ぽつりと呟いてみるけれど、それは今すぐには叶わないってわかってる。
「………おかぁしゃ?」
私が切なく目を細めたのを見て、娘は心配したのだろうか。小さな指で私の手をきゅ、と握って……心配そうに私を見上げた。
「なんでもないの。大丈夫。ありがとう、優しいね。」
リヴァイさんが帰ってきたら、きっとまた教えてくれる。外の世界のこと……。
だから待つの。私はここで……。
この世界に平和が訪れるのか……もしくは終わりが来るのか。その白黒はっきりついた時に、会いに行く。この子を連れて。
愛しいあなたがこの子を抱いて……、ふっと目を細めて笑って……この子の頭を優しく撫でてくれる画を夢見てる。
「――――私のやるべきことは、命を繋ぐこと。戦えなく、なってしまったけど……繋ぐことは、できる。」
ねぇエルヴィン。見てる?
目まぐるしくこの島を取り巻く環境が変わって行く。
リヴァイさん達が……調査兵団が、外の世界に足を踏み出すんだよ。ハンジさんやリヴァイさん、あなたが心から信頼していた彼らの目を通して、あなたにもそれが見えればいいな。
――――そして見守っていて。
この先の私たちが……歩む行く末を。