第193章 来訪
――――――――――――――――――――
港が完成して……鉄道も開通に向けて着実に線路が敷かれつつあった。
――――この1年で驚くほど、この島は変化した。
――――その日、マーレ以外の国の船が港に着いた。
それはこの島にとって唯一の友好国となる、ヒィズル国。
その使者としてキヨミ・アズマビトが来訪した。その中年の女は東洋系の顔立ちと黒髪で、見るからにミカサと通じるものを感じた。その理由はすぐに分かった。
ミカサが代々受け継いでいるという腕に刻まれた紋章と、アズマビトが持つ紋章は同じで……ミカサは、ヒィズル国の主の末裔であるということだった。
――――ったく、エレンといいヒストリアといいミカサといい………とにかく104期生は面倒事を背負ったガキ共が多すぎる。
――――結局のところ、話を聞くには……、ヒィズル国はミカサの存在をジーク・イェーガーから情報提供を受けて知り、その存在を確認するためにジーク・イェーガーの提案に乗った、と。
更にはこの島の地下に眠る……立体機動装置の燃料とも言える “氷爆石”を狙っているのだろう。
アズマビトの口から説明されたジークのエルディア人と世界を救う秘策は、またもや――――……胸糞悪いものだった。
「――――地鳴らしでこの島を守るために必要な三つの過程。まず一つ目は地鳴らしの実験的活用。その力の一部を公開し世界に地鳴らしの破壊力を見せつけるのです。二つ目がヒィズルの介入です。地鳴らしが必要なくなるまでこの島の軍事力を世界の水準並みに底上げすることが目的となります。最新兵器を導入することはそれほど困難なことではありません。しかし近代的な軍隊を設立するためには強固な国力の土台を築く必要があります。教育や経済力に外交力……そして人口。」
アズマビトは淡々と、それが最善であるかのように語った。