第193章 来訪
「――――いえ、話せばわかる。だって……人対人、なんだから………。」
――――僕には何も、できないけど。
ナナさんが僕を信じてくれたから。
あの時……僕にできることをやれって、教えてくれたから……、できることをやるよ、ナナさん。
――――知恵を絞ること。
エレンの側にいること。
……それくらいしか僕には、できないけど。
それでも……あなたが帰ってくるまで、調査兵団であなたが担っていた役割のほんの一部くらい、僕も担いたい。
その一心から団長に意見していて、ハッと気づいてハンジ団長に目をやると、ハンジ団長はとても驚いた顔をしていた。
新兵の僕が団長の言葉を否定し、意見するなんてまずかったか……?と思った矢先、ハンジ団長は笑ってくれた。
「――――驚いた。そうだね、アルミン。その通りだ。」
「……はい……!」
「――――早速それで進めよう。イェレナに人選を頼もう。彼女なら本国で誰が何を担っているかおおよそ見当もつくだろうし!」
「工兵と話ながら建築を進めることは、僕にもできます。やらせてください。」
「――――本当に、助かるよ……、ありがとう、アルミン。」
「いえ。」
「――――まるでナナがいてくれてるみたいだ。」
「――――………。」
「よしっ、んじゃ早速動こっか!!」
「はいっ!」
ハンジ団長はすぐにイェレナさんにかけ合って、それぞれの適材を適所に配置してくれた。
――――最初こそ軋轢はあったものの、徐々に徐々に……同じ目標に向かって何かを創り上げていく中で会話が生まれ……お互いを知り、ここにいる僕たち個々人は……決して殺しあわなくてもいい関係性なんだと気付くことが、できた。
それになにより、建築のスピードが格段に上がった。
交易の要ともなる港も、もうすぐ完成する。
この港に、数日後初めて外国の要人を迎えることになる。
――――鳥かごみたいに狭かった僕たちの “世界” が……一気に、広がっていく。