第193章 来訪
「だって美味しいからぁぁぁあ!!ねぇ兵長、ナナさんにも食べさせてあげましょうよ!!」
「ああ、そりゃいいな!!ナナさんの病も治っちまうかもな!」
「――――あの……クソ馬鹿共……。」
ナナが調査兵団を離れてもう1年以上経つ。
それなのにあいつらは未だに、ナナのことを話題に出す。心配しているのと同時に……あいつらにとって、信頼できる大切な上官の一人なのだろうとわかる。
104期と過ごした時間はごく短い期間のはずだ。
……あいつは人と繋がることが本当にうまくなったな。
――――が、今問題なのはそんなことじゃねぇ。
にやりと俺の横で不敵に笑う、この女をどうするか、だ。
「――――へぇ、ナナさん、って言うんだ。……ちらほら聞く名前だなぁと思ってました。なるほど、同じ調査兵団で……恋に落ちて、結婚……。素敵ですね。」
「――――うるせぇ、それ以上余計な詮索をするな。ナナに何かしようとするなら、迷わずお前らを殺す。」
「――――ふふ、怖い。」
殺気を最大級に向けてみても、動じない。
……クソ厄介な奴に、ナナの事を知られた。
こいつらが腹の底で何を考えているのか……、信じられる奴らなのか確信が持てるまでは……十分すぎるほど注意しておかねぇと……。