第193章 来訪
「ぜひお会いしたいなぁ。」
「――――誰が会わせるかよ。」
「警戒しないで頂きたいですね。ただ……獣の巨人さえも圧倒するほどの力……まさに “人類最強” ………その男が愛する女性がどんな人なのか、興味があるだけなのに。」
「――――興味があるのはその女に、じゃなく……その女の使い道に、の間違いじゃねぇのか。」
「――――信用ないなぁ。傷つきます。こんなに……この島の為に尽くしているのに。」
「――――見返りなく尽くしてくる奴らほど用心しねぇとな。なにを企んでるか……わかったもんじゃねぇ。」
警戒と多少の殺気を織り交ぜた視線をつき刺してみても、イェレナは余裕の笑みを崩さない。――――この女をここまで迷いなく突き動かしているのは何なのか……ジーク、あいつの……胸糞悪ぃ顔が思い起こされる。
「へいちょおぉぉ!!ちょっとこれ!!食べてみてくださいよ!!天才!!天才なんです、彼……!」
ピリ、と張った空気をサシャのでけぇ声が掻き消した。
アホみてぇに食い散らかしているサシャを見ると……ほんの少し、イザベルを思い出す。が、イザベルもあそこまで意地汚くはなかったな。
「ちょっ……やめろ馬鹿サシャ、そんな汚ねぇ食い方で散らかした状態で兵長呼ぶな!!俺が怒られる!!」
そんなサシャを後ろから羽交い絞めにしながら食い物から引き剥がそうとするサッシュは……ファーランと重なる。サシャをサッシュに任せて、同じようにサシャの横で飯を貪り食っているコニーとジャン……、静かだが、目を輝かしながら食っているアルミンやミカサ……。
得体の知れねぇ奴らをこの島に拘留することにもちろん危険も否めない……が、あいつらのあの顔を見ていると、決して悪いことばかりじゃねぇと、思う。