第192章 回想③
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リヴァイさんとの幸せな巣箱での日々を終えて――――……夏が終わる頃、馬車に乗って王都へ戻った。
付き添いはいらないと言って……、トロスト区の兵舎の前で、リヴァイさんと別れた。窓から手を振ってくれていた、エレンやミカサ、ジャンやサシャ、コニー……小さくアーチさんと……読めない表情のままのエレン。
――――エレンの側にいられないことが心配でもあるけれど……ハンジ団長も、リヴァイ兵士長も、ミカサもアルミンも……104期のみんながいてくれるから……きっと大丈夫。
そう信じて、調査兵団を離れる。
次はいつ、ここに……みんなに会いに来られるだろう。
そんな日はもう、二度と来ないの………?
私の守るべき命と、今すぐみんなの元に駆け出したい思いがせめぎ合う。
――――でも、この子の命を守るのは私の務め。
これ以上悲しくならないように、馬車の窓を――――……早々に閉めた。
ボルツマンさんの病院にすぐに入院し、毎日のように病状の検査と……お腹の子の検診を受けながら、徐々に膨らんでくるお腹や大きくなってきた胸に少し戸惑いながらも、エルヴィンとの日々を、……リヴァイさんとの日々を……、調査兵団での日々を思い返しながら過ごした。
――――そして……、空から真っ白な雪が舞い落ちて……、祝福を受けるようにしてその子が生まれたのは……奇しくもリヴァイさんのそれと同じ、12月25日のことだった。
――――出産中もあまりの激痛に何度か気を失って、一瞬我が子の泣き声を聞いた時……涙が溢れた。