第192章 回想③
「――――リヴァイさん……!」
「――――ナナ?」
なんでお前が今ここにいる?今日の夜だろうが……帰る予定は……。
そして寝ている俺を叩き起こしておいて、随分ご機嫌そうな表情をしてやがるなと……、色々問い詰めたいことはあったが……、そんな隙も与えず、ナナが扉をぐい、と開けて俺の部屋に踏み込んで――――……、俺の胸に飛び込んできた。
「帰ってきちゃいました……!」
「―――あ?」
「会いたくて、待てなくて……。」
「――――………。」
ナナは俺の肩越しに、テーブルに置かれたウイスキーの瓶とショットグラスを見て言った。
「私がいないとリヴァイさん、眠れないでしょう?」
俺を見上げる目は、つい先日までの不安定すぎたそれとは違って……、随分といつものナナのように見える。
生意気で……強気で……可愛い。
その達者な口を、黙らせたくなる。
「――――よく分かってんじゃねぇか。まだ数時間ある。寝かせろよ、俺を。」
「――――ん。」
ナナの腕を引いて口付けて……当たり前のように抱きあげて、舌を絡めながらベッドに降ろす。
――――くそ、妊娠してなけりゃこのまま嫌程抱いてる。……が、妊娠が分かった上でセックスするのはよくねぇんじゃねぇかと……なんとか、耐える。立ち上がるそれを抑えつつ、ナナに覆いかぶさってまたキスをする。
「―――ん、ふ……っ……、リヴァ、イ、さん……?」
「――――なんだよ。」
「――――もっと。」
まるでいつものナナだ。
何を吹っ切れたのか……母親と、話せでもしたのか。ふにゃ、とたまらない笑顔を見せながら狡い女はキスをねだる。
「――――くそっ……、お前……抜くの、手伝えよ?」
「??」
ナナは俺の言葉が理解できなかったのか、きょとんとした顔のまま……、でも『あなたのお手伝いならなんでも』といったとんちんかんなことでも思ったのだろう、へらっと笑って……俺が与えた激しいキスに応えた。