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【進撃の巨人】片翼のきみと

第192章 回想③




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ナナは王都へ定期診察に帰っている。

今晩は向こうに泊まって……明日の夕方には戻る予定だ。ナナがいないなら、部屋に帰る必要もねぇかと……久しぶりに兵舎で飯も風呂も済ませて、自室のベッドに横になる。



「――――何事もなく帰って来いよ……。」



窓から外を見上げてボソッと呟く。ナナを抱いてねぇと……どうにも落ち着かねぇな。

―――俺は身体を起こして、部屋の棚に入れていたウイスキーの瓶を取り出して……ショットグラスに注いで、それをあおった。あの巣箱に……酒は置いてない。ナナを抱いていれば、酒の力など借りなくても甘く深い眠りを得られる。――――それは俺だけじゃなく、ナナにとってもそうだったんだと……今回のことでわかった。

お互いの傷を癒して羽を休めるための巣箱で……明日の夜はまたナナを抱いて、深い眠りにつこう。そんなことを思いながら、アルコールが誘う不健全な眠りにゆっくりと、落ちていった。






コンコン、と控えめな音を……寝ながらにして聞いた。



「―――ん……、なんだ……くそ……。」



窓の外を見ればまだ夜が明けてすぐだ。

非常識な時間に部屋を尋ねてくるのは……、巨人の話に興奮したハンジぐらいだが……、それにしちゃあノックが控えめすぎるな。誰だ……。ぼんやりする頭を押さえながら扉へ近付く。――――クソどうでもいい要件だったら、ぶっ飛ばしてやるからな……と思いつつ、威嚇する気で不機嫌を全面に出して扉を少し、開けた。



「――――誰だ、つまんねぇ要件ならぶっ殺すぞ……。」



するとそこには……俺の威嚇も全く意に介さないような、曇りのないきらきらとした大きな目を開いて、俺を見上げるナナがいた。

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