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【進撃の巨人】片翼のきみと

第16章 姉弟




「あんな風に格好良く言えば、姉さんは絶対に話に乗らない。一足先に帰ったエルヴィン団長はきっと今頃、なるべく一般市民の口減らしのための作戦に、調査兵団の優秀な兵士を巻き添えにしないようにするには………を考えている頃だと思うよ。」


「…………待って…………やめて………。」



ロイは立ち上がり、私のほうへ歩みよると、後ろから私を抱きしめ、耳元で囁く。



「交渉額の目星をつけてたでしょう?エルヴィン団長と………用意周到な人だね。僕はあの人嫌いじゃないよ。姉さんに、口減らしに納得していることを悟られないようにするためだ。姉さんに、“作戦に携わる人たちを一人でも多く救うために最善を尽くす団長”と印象付けたかった………ただの関係性じゃないよね?もしかして、恋人だったりする?もしそうなら、なおさら姉さんを調査兵団から奪い返さなくちゃ。」





怖い。ロイの言葉は、私の中の小さな綻びを見つけては、その不安を広げていくようだ。





「図星のことが多くて、怖いと思ったでしょう?………医学の道では姉さんを越えられないけど、僕はどうやら人を操る力に長けてるみたいなんだ。………父さんだってもう経営から家のことまで僕のいいなりだ。王政だって例外じゃない……もっと病院を大きくして、もっと中枢に入り込んで、…この国を内側から壊してやる………。だから姉さん、僕と一緒に終わらそうよ、このくだらない世界を。――――――僕の、側にいてよ。一生――――――――」






ロイの腕に力が籠る。振りほどきたいのに、できない。





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