第191章 回想②
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ヒストリア女王が運営する孤児院の視察に調査兵団を代表して赴いた。
――――まぁ俺が後押ししたってのもあるからな。――――不幸なガキはこの世に少ないに越したことはねぇ。
ヒストリアは……女王でいる時よりも生き生きとガキどもの世話をしていた。
――――ガキは好きじゃねぇが……飢えて物を乞う顔よりも、騙されて人を憎む顔よりも、身内の死に泣きわめく顔よりも、ふざけあって笑ってる顔のほうが――――……幾分もマシだ。
孤児院の状況を視察の結果報告も含めてハンジに話していたんだが、報告を終えたと同時に全く関係のねぇ話をぶん回してきやがるのは……相変わらずだ。
「――――ねぇリヴァイ?」
「あ?」
「――――ナナに意地悪してない?」
ハンジ机に頬杖をつきながらはぁ、とため息を吐いて俺を見上げる。
「…………どういうことだ。」
「ナナが変だよ。分かってるでしょ?」
「――――………。」
「そりゃあさ、自分の子じゃないかもしれないのが腹立たしいのはわかるよ?でも……状況が状況だったじゃない。もともとエルヴィンと生涯を誓ってたんだし、そういう行為もあるでしょうよ。それがあんなことになって……傷心のナナにつけこんだのはあなたなんだよ。やっとけじめをつけてあなたの元に戻った途端、突き放されたら不安定にもなるよ。――――まぁ、妊娠のせいでちょっと情緒が安定しないのも理由かもしんないけどさ?」
――――どうやらハンジは俺が、ナナの腹の子が俺の子じゃない可能性があることに腹を立てていると思っているらしい。