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【進撃の巨人】片翼のきみと

第189章 鎹




その後、最重要とも言える情報を黙っていやがったエレンを別室でハンジと共に問い詰めた。相変わらず感情のねぇ顔をしている。

――――こんな、奴だったか……。

エレンはもっと……感情的で、表情をころころ変える犬みてぇな……ナナに似たところがある奴だったが。





「――――兵士としてあるまじき愚かな独断だ、エレンよ。」



「――――反省しています。」



「ヒストリアの身を案じるのは結構なことだが……壁内人類全員の命よりもヒストリアを優先すべきとは俺は思わねぇ。そういう覚悟でヒストリアも女王の椅子に座ってるはずだ。」



「――――………。」





応接室のソファに座ったまま、エレンは俯いた。だがその面は、一寸の反省もしてねぇ顔だ。





「そうだよエレン。君は何者にも持ちえない力を持ってるんだ。特に独断で動かれたり隠し事をされたら困るよ。――――それでなくてもこの島の人類は明日も知れない恐怖で戦々恐々としている。兵団のお偉方だってそうだ。見ただろう?今日の慌てようを……。エレンが信用を失うような行動をすれば、その恐怖から攻撃の矛先が君に向かうことだって……あり得るんだよ?」



「――――………。」



「――――そうなれば、今ここにいないナナだって、悲しむ。」





ハンジがナナの名前を出すと、エレンは僅かに反応した。ごく僅かに……目を開いた。少しの沈黙が流れた時、外から扉がノックされた。





「――――ハンジ団長。」





その声は、サッシュだ。ハンジが扉を開けると、サッシュが一礼して要件を述べる。






「憲兵団のナイル師団長がお話をしたいと。」



「あ、ああ、わかった行くよ。」





ハンジは俺の方を振り返ると、エレンを頼む、と目くばせをして部屋を出た。エレンと2人になってもなお、エレンは口を開かない。王家の血を引く巨人と接触し、始祖の巨人の力を発動させたときのことをもう少し詳しく聞く必要がある。

引き金はなんなのか……始祖の力とは、どんなものなのか。

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