第188章 発現
食事を終えて、手紙を読んで驚愕した。
――――この島に、マーレの戦艦が来てそれを捕獲、捕虜を得たと。だがその捕虜の中には獣の巨人・ジークの作った組織である反マーレ派義勇兵と言う組織が混じっており、エルディア人を解放するために――――……ジークの提案を受け入れ、エレンと引き合わせよ、と……言って来た。
「――――エレン……!」
胸騒ぎがする。
私は直接ジーク・イェーガーと会ったことはない。どんな人間なのかは具体的には知らない。だから一概に危険だと、会わせるべきじゃないなんて軽率なことは言えない。
――――だけど、だけど……。
――――また、現れた。
私たちの……前に……。
『――――エルヴィンは獣の巨人による投石を浴びて腹部を損傷、瀕死だった。』
エルヴィンの死を私に告げた時のリヴァイさんの言葉が蘇る。
――――私の愛する人を、殺したのは………。
私から、エルヴィンを奪ったのは――――………。
手紙を握る手に力が入って、僅かに震える。
エルディア人を解放を名目にするのなら、なぜ殺した?
私の愛する人を………。
ウォール・マリア奪還の時だけじゃない。
……獣の巨人は、ウドガルド城戦にも現れて……ミケさんも、リーネさんも……ゲルガーさんも……ナナバさんも死んだ。なぜ奪ったの……?
私の大事な仲間を……。
甘い戯言だけで叶えられるような小さなことではないのは理解できる。大国マーレを出し抜くためなら、従順に……言われた通りの任務を全うして、救うはずだった同じエルディア人を殺しても仕方ない、のかもしれない。
――――実際にエレンの記憶に現れた元々の進撃の巨人の継承者、エレン・クルーガーもそうやって……敵国に忠誠を見せたからこそバレずに……その志をグリシャ・イェーガーに託すことができたのだろう。