第188章 発現
「あら、そういえばボルツマンさんからのお届け物の他にも、お手紙が数通来ていましたよ。」
「あ、そうなの?」
「――――リヴァイ様からも。」
「…………!」
「――――……スープはよそっておきますから、ご覧なさいな。早く見たくて仕方ないって、顔に書いてあります。」
「………うん!」
飾り棚に置かれた数枚の封筒。
宛名を見なくてもわかる。
無地でシンプルな真っ白な封筒。
裏を見ると、決してとても綺麗とは言えない字で流れるように書かれた “Levi” の文字。
「――――リヴァイさん……。」
決して手紙というものが得意じゃない彼が、手紙を出してくれるようになったのは………海辺の近くに兵站拠点を作りあげ、そこに常駐するようになった頃からだ。
まるで生存報告のようで――――………危険な戦いが、始まりつつあるんじゃないかと怖くなる。
良かった。今月も手紙をくれた。
私は勿体なくてなかなか封筒を開けられないまま、Leviの文字を指でなぞった。
――――いつも想っています。
あなたの無事を願ってる。
――――本当は今すぐそこに、駆けつけたい。
それは、叶わないけれど。
「ナナ様、あまりに浸ってるとスープが冷めますし、お腹の我慢も限界のようですよ。」
「あっ、はい!ごめんね!お待たせ!!」
ハルに言われてハッとしながら席につく。
手紙は後で大切にじっくり読もうと、また棚に戻した。
――――食事の時間が苦痛ではなくなった。
どれだけ噛みしめても何の味も感じなくて、食べることが罪のように感じて……食べることが怖かったあの時期からは想像もできないほど、食事の時間が大切で温かいものになった。
それもとても嬉しくて……時間をかけて、その幸せを味わう。