第188章 発現
「!!……あ~あ、いいのかなー?!そんな悪口言って――――!!後ろの巨人が見えないのかな~?!どうやってここから逃げるつもりなのかな~?!」
戦艦のすぐ後ろに、自分達を船ごと持ち上げ陸に引き上げた巨人がいる。奴らにとっては絶望的な状況だ。
「………悪魔の力などに屈するものか!!これがマーレの挨拶だ!!」
「ッ――――!!」
その男は銃口をハンジに向けた。
パン、という発砲音に俺達は身を伏せたが――――……頭が吹っ飛んでいたのは……今まさにハンジに銃口を向けていた男。
そしてその男を撃ったのは――――……すぐ側にいた、兵士だ。
「何だ?!何のマネだイェレナ?!」
相手の内々で動揺が広がる。
男を躊躇なく撃ち殺したその大柄な兵士は、続いて周りの兵にも銃口を向けた。それを合図に、兵の中の数名が同じく統率のとれた動きで……あっさりとその場を制圧した。
かき集めた銃を俺達に見えるように、潔白を証明するように海に投げ捨て、そいつは礼儀だと言わんばかりに頭を保護する防具を脱いだ。
「ハンジさん、お招きいただき光栄です。お茶しましょう。」
――――その顔は、声は……女だ。
サラリとした金髪を耳の高さで切りそろえ、まるで男のようなナリをしている……目の奥が読めない……そんな女だった。
「――――ちっ……厄介そうなのが出てきやがったな……。」
俺達はその女とこの急展開に多少の動揺を隠せなかったが――――……、この機に得られる情報は得て置く必要がある。
俺達の兵站拠点まで連行、話をすることにした。