第188章 発現
――――一隻の小舟が、海岸に着いた。
辺りに警戒をしながら、銃を構えて恐る恐る島へと進む小隊を包囲、銃撃で威嚇した後拘束した。基本的な銃器を装備はしていやがったが、完全に囲まれりゃ成す術はない。
「こんばんは。えっと、言葉は通じるんだよね?」
「――――放せ!!悪魔ども!!」
「あ、通じる。良かった良かった。」
ハンジが歩み寄って奴らに話しかける。
「野蛮で穢れた悪魔どもと交わす言葉などない!!」
「まぁそう言わずにさ。名前は?」
「――――誰が名乗るか……!」
「えぇ、教えてよ。私はハンジ。宜しくね。」
「…………!」
「――――ハンジ、もたもたしてる時間はねぇぞ。」
俺は悪魔と呼ばれるに相応しく冷たい表情で刃を抜いて、その男の首元に沿わせる。
「――――立場を分かってねぇらしい。拒否は即ちお前たち全員の死だが、その覚悟があるってことだな?」
「――――……っ………!」
「――――一人ずついこうか。吐くまで。」
「――――ニコロ、だ……。」
小隊の頭であろう金髪巻き毛の男が名乗った。
そこからは簡単だ。
死を回避する本能でも働くのか、一度恐怖で従わせてしまえばその後こちらの要求は飲みやすくなる。奴らの所持していた通信手段、発煙筒、光源等を全て差し押さえた。
「――――あのでけぇ戦艦を丸ごとおとすまで、お前たちは人質になってもらう。」
「くそ……っ………!」