第188章 発現
それからしばらくして……ついに奴らは来た。それを最初に見つけたのは、サシャだった。
「――――兵長……!海の向こうに何か見えます……!」
目を凝らして見ると、確かに遠目からでも分かるほどの大きさの――――……でけぇ船だ。
「――――ハンジに知らせろ。そしてエレンを呼べ。」
「はいっ!」
――――奴らも馬鹿じゃない。
そのままあの船で乗り付けるつもりじゃねぇだろう。もろともに固定砲で攻撃されたくはないだろうからな。あそこから小舟で先遣隊が来る。それを捕獲して――――……本艦を釣るか。
「リヴァイ、現れたって?」
すぐにハンジがやってきて、同じように身を伏せて策を練る。
「――――お前がでけぇ艦隊を指揮する立場で、悪魔の潜む島に上陸するとしたら、どうする?」
「そりゃあ先遣隊を出すね。相手は悪魔でしょ?まずは島の状況を知らなきゃ怖いからね。」
「――――同意だ。おそらく小舟に乗り分けて来るだろう。――――捕まえるか。」
「――――だね。」
「捕まえてどうする?拷問か、切り刻んで本艦に送り返して――――……、悪魔の本領を見せてやるか?手出しする気すら、起こらねえように。」
「ちょっとリヴァイ、ナナがいないと途端に怖いって。穏やかに行こうよ?相手は人間だよ?話せばわかるかもしんないし。まずはほら………お茶とかしてさ?話し合いから始めたいな、私は。」
「――――ナナもお前も、クソ甘ぇよ。」
「……だって私たちは悪魔じゃない。」
ハンジはまっすぐに海の向こうを見つめながら言った。
「――――そうだな。」