第188章 発現
「やっぱりナナさんに戻ってきてもらって、その情報を活用すべきでは……!」
「それはできない。」
「なぜ………。」
「あいつを王都から引き戻すことはしない。」
「――――……そんなに病気が、悪いんですか……。」
「――――そうだ。無理に病人を引っ張り出して来なくても、俺達で次に来た敵を捕縛する。そいつらに拷問でもなんでもして聞きだせばいい。遥か昔の、本に書いてあった内容よりもよっぽど優れた情報が手に入る。」
黙った俺を見て、アルミンは俯いた。
「そう、ですね……。」
アルミンがナナに戻って欲しいと乞うのは、おそらく……エレンの変化によるものか。
明らかに父親の記憶の断片を見てから……さらには勲章授与式の後から……やはりエレンは様子がおかしい。
俺にはわかる。
あいつが内に秘めている化け物が……その頭角を現し始めようとしている。
「―――見張りを続けるぞ。よそ見するなよ。」
「は、はい……!」