第187章 海② ※
――――リヴァイさんは、笑った。
その笑みは、私をその気にさせることが簡単すぎるという意地悪に片方だけつり上がる口角と……、心の底からの愛しいと想いを滲ませた優しい目で……、私が応えたことに、安堵するような顔だった。
「お前は、14年前から変わらず、俺の大事な女だ。この世の、誰よりも。―――お前が変わっても、この想いだけは不変だと誓う。」
私の手をとり、真面目に……手の甲にキスをしながら、その目で私を見つめて……薄暗い部屋でもわかる。
リヴァイさんの目に、私が映ってる。
「――――死んじゃい、ます…………。」
「あ?」
私の涙ながらの言葉に、リヴァイさんは怪訝そうに首を傾げた。
「――――嬉しくて……、幸せ、で……。」
「――――馬鹿野郎。簡単に死ぬな。」
リヴァイさんはまた、ふっと笑った。
そして優しいキスをくれる。
彼の首を両腕で囲って引き寄せ、また何度もキスをして……心臓を鷲掴みにされたような息苦しさに悶えて息を荒げながら、リヴァイさんのキスと愛撫に応える。
「あ、ぁ……っ……、リヴァイ、さ……。」
「ナナ……ナナ……、俺の、ナナ……。感じろ、俺をもっと。」
リヴァイさんが私の肌を暴く。
――――お風呂にだって入ってなくて……私自身の変化や、見られたくないところもたくさんあって……もうこの肌を晒すことなんてないと思っていたのに……そんな羞恥や心配など無かったことにされるほどの興奮と快感で、リヴァイさんの放つ色香と情欲が毒のように私を冒していく。
リヴァイさんもまた体を起こして首からクラバットを抜き取り、シャツを脱ぎ捨てる。
――――この瞬間を見上げるのが、たまらなく好き。
だめ、もう何も考えられない。
ごめんね、ごめんなさい……でも……私は――――……この人が、リヴァイさんが……好きで、好きで、好きで……仕方ない。
かつて嫌悪したそれに堕ちる自分が嫌い。
でも……私が私を嫌っても、リヴァイさんが愛してくれる。
それは身に余るほど、死ぬほど――――……
幸せ。