第187章 海② ※
「――――ナナ。」
「――――っ……、だ、め……。答え、られない……。」
「なぜだ。」
「――――もって、いかれてしまう……っ、言ったら、全部……。止められなくなって……、私はきっと、自分が嫌いになる……。」
「――――明日この島に敵が上陸して、俺達が成す術なく滅んでも後悔しないのか。」
「………それは………。」
「――――この夜を、ただの “ナナ” として過ごせば良かったと悔やむくらいなら、道徳心などクソの役にも立たねぇものは捨てろ。」
「屁理屈……です……。」
「……それに、お前が自分を嫌いになろうが知ったことか。」
「…………。」
リヴァイさんが冷たく言い放ったその言葉に、小さく傷ついたのだけれど……次の瞬間、それは掻き消された。
「――――俺が死ぬほどお前を愛してんだ、それでいいだろ。」
「――――リ、ヴァ…………。」
どうしよう、という動揺の顔をしていたと思う。
そんな私に覆いかぶさって、リヴァイさんはわざと不器用に唇を押し付け、啄むようなキスをした。
「――――ナナ。……………ずっと、こうしたかった。」
――――その言葉は、初めて体を繋げた日に……私が、リヴァイさんに一歩踏み込んだ時の………言葉だった。
なんでそんなことまで、覚えてるの。
何年……経ったと思ってるの……?
あなたの心の中のほとんどを、私が独占しているんじゃないかって己惚れてしまう。
――――好きなの。
大好き。
だめなの、抗えない。
私の心も体も……全部、狂おしいほどあなたを求めてる。
「………っ……。はい……、――――私、も……っ………!ずっと………こう、したかった……!」
私は我慢できずにリヴァイさんに手を、伸ばしてしまった。