• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第187章 海② ※




――――――――――――――――――――


―――――リヴァイさんが見せてくれた海というものは、想像よりも遥かに広くて大きくて……嗅いだことのない香りがして……なんと表現していいのかわからず、目の前のその光景にただ目を丸くしていた。

けれど、ワーナーさんとの思い出や……そこにまつわるリヴァイさんとの思い出、調査兵団でのエルヴィンを始めとしたみんなとのこれまでのこと……エレンは、アルミンはどんな気持ちでこの海を見たのだろうとか……色んな感情が込み上げたのか、目からはぼろぼろと勝手に涙が零れていた。

本当に海というものがあって……こんなに美しくて……世界は本当は、美しい物で溢れた優しい世界なんじゃないかと僅かな希望が芽生える。





「――――……ワーナーさん………っ………。」





思わず呼んだその名の続きは……言葉にならなかった。

私の夢……ようやく小さな一つ目が叶ったよ。海を、この目で見られた。そして今度は外の世界に……この海の向こうにいつか……行きたい。

発展した素晴らしい文明と、異なる文化を持った人たちに出会って……話して、知って……そうして初めて、私の世界は広がる。その時に異国の地で見上げる青空こそが、私の求めた自由の空で。エルヴィンと共に見た夢で……。



――――でも、それを叶える為にはとんでもない困難が待ち受けていて……、私はそれを最後までやり遂げられないかもしれない不安と苦しさを感じている。

……けれど実は心のどこかで確かに……安堵している。

――――諦めてしまえば……もう、大切な人が死にゆく姿を……人が人を殺すその瞬間を、見なくていいかもしれない。




リヴァイさんが私に教えてくれたから。




/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp