第16章 姉弟
「………それとこれとは関係ないでしょ………?!」
私は怒りと動揺を隠すことはできなかった。
「大ありなんだよ、姉さん。」
「……………!」
「エルヴィン団長、ライオネル公爵家はご存じですか?」
「ええもちろん。王政に関わる重臣を多々排出している名門の一族ですね。」
「そうです。そのライオネル家の新しい当主であるダミアン・ライオネル公が、姉さんとの結婚を希望されているんですよ。」
「………ダミアンさんが………。」
壁が壊されたあの日以来、ダミアンさんとは一度も連絡をとっていない。まさか縁談の話がまだ生きていたなんて、考えてもみなかった。
「ライオネル家は、姉さんを迎えられるなら、50万の出資でも厭わないと言っている。更にライオネル家はこの作戦にも大きく口添えをできるほどの立場にある。エルヴィン団長の理想に近い状態により近づけることが可能になる。」
「!!!!」
そのあまりの額に、唖然とする。
「………なるほど、それは凄い………。」
「………エルヴィン団長……………!」
「ね、お互いにとっていい話だと思いませんか。」
ロイはにっこりと笑った。
エルヴィン団長もにっこりと、笑った。