第186章 海
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やはりほぼ間違いなく、もうこの島に巨人はいない。
壁外調査から帰った俺達は兵団にそう報告した。
だが、いつまたあの海の向こうから、罪人を送り込んで巨人化してきやがるかわかったもんじゃねぇ。
あの海を越えて獣と鎧、それにあの四足歩行の巨人も……国へ帰ったのだろう。……ともすれば、いつまた攻め込んで来てもおかしくねぇ。
俺達が島の巨人を掃討しちまったことも、逆に考えれば……外から攻めやすくなったってことだ。エレンは巨人を操りライナーを襲わせたことがある。
――――獣が操れる巨人には、共通点がある気がした。
もともとこの島にいた巨人ではなく、あの髭面が操ったのは……元ラガコ村の住人と……ウォール・マリア最終奪還作戦の時に自ら発生させたとみられる巨人だ。
――――この島にあいつらが来る前からいた巨人まで好きに操れるかどうかは、未知だ。
もしあいつが、自ら巨人化させた奴らしか操れないと仮定するのならば――――……この島に現存していた巨人はあいつらにとっても多少なりとも脅威になり得ていて……多少の牽制にはなっていたはずだ。
それがいなくなったとなれば――――……
そんな事を考えれば考えるほど、今日と同じ平穏が、明日も続くとは到底考えられなかった。
俺はナナに手紙を書いた。
――――王都からの移動を考えれば5日間。
外出ができるのかということと……移動に耐えうる体力があるのかという点を問うと――――……
『あなたと一緒に、海が見たいです』
と……返事が返ってきた。