第186章 海
「――――これが……海………。」
俺の後ろで、アルミンがぽつりとその言葉を発した。
かと思えば、俺の隣でやけに静かだったハンジが小さく震えながら興奮絶頂の声を上げた。
「――――っすっっっごいね!!!これ……ナナが言ってた…… “海” だ………!みんな!!行くよ!!調査開始だ!!!」
興奮したハンジは馬の手綱を引いて、崖の上から眺めているだけでは飽き足らず、さらに迂回してその海の近くまで降りた。馬を繋いで、各々が装備を外してガキみてぇに足をつけてはしゃぐ。
コニーやサシャに至っては、帰り道どうすんだ……というくらいに塩水をぶっかけあって、いつもの調子だ。
「ああぁぁあい!!」
「目があぁぁぁあ!!」
「うおぉぉおおしょっぺぇえ!!」
はしゃぐガキ共にため息をつきながら、フロックは冷めた表情のまま横目でその様子を見ていた。
「なぁ兄ちゃん、俺達も入ろうよ……!」
「ばっ……、馬鹿お前……俺分隊長だぞ?だれがそんなガキっぽいこと……!」
「サッシュさぁああん!!どうぞ!!ほら!!塩ですよ!!」
「うわっぁああサシャ、やめろ!!!」
分隊長を理由によくわからねぇ意地の張り方をしていたサッシュに、サシャが思い切り塩水をぶっかけたところから……ガキ共のテンションは右肩上がりだ。
「いいぞ、やれサシャ!!」
「ほら、アーチさんももうどうせ濡れるんですから!!」
「―――ははっ……!」