第183章 白状
「――――……エルヴィンは……自分の、意志で………私に……黙ってた―――――………?」
「――――そうだよ。僕は確かにまた非人道的な嘘をついた。だけど……義兄さんはそれに加担した。――――僕と同類だ。ずっと思ってた。義兄さんは僕と似てるって。自分の目的を達するためなら、手段を厭わない。例えそれが――――……愛する人の意志を曲げることであっても。」
姉さんは義兄さんとの過去を回想するように、呆然としていた。
「義兄さんは間違いなく姉さんを心から愛してた。――――だから僕の悪魔の囁きに耳を貸してしまったんだろうね。」
――――僕と義兄さんは同罪だ。
姉さんの人生を意志と反して……画策して、操ろうとした。
確かに自分の達したい目的を優先して、姉さんを騙した。
――――でもそこにあるのは……僕達2人共が負けじと抱く、姉さんに対しての怖いくらいの愛なんだって、どうかわかってほしい。
「……不思議なのは……、僕が手紙を送る前……革命が成功して僕が兵団本部に拘留されていた時に……姉さんの病気が分かったのに入院させずに調査兵団にいさせていることに対して義兄さんに詰め寄ったら……僕にハッキリ、言ったんだ。『俺はナナの想いを尊重する』って。」
「――――………。」
「姉さんの想いは……調査兵団で死ぬまで戦い続けることだったとして……、僕の思惑とは正反対だったのに……なぜ義兄さんの気持ちは、変わったんだろうね……。――――もう、聞くことも……できない、けど……っ……。」