第16章 姉弟
「なにをそんな不機嫌になることがある。事前に言ってあっただろう?会食のために明日の午後から発つ、戻るのは翌日昼になるから、頼んだぞ、と。」
「………こいつも行くとは聞いてねぇ。」
エルヴィン団長は少し驚いた様子で私に目を向けた。
「ナナ、言ってなかったのか?」
「??はい。」
「…………。」
あ、リヴァイ兵士長が怒ってる。
小さなことで私はすぐ彼を怒らせてしまうから、もう慣れたのだけど。あくまで任務で行くのであって、しかも相手はエルヴィン団長で、心強さはあれども心配することなど何もないから、私はリヴァイ兵士長にはこのことを話していなかった。
「訓練の調整はしましたよ、ちゃんと。」
「………そこじゃねぇだろ。」
リヴァイ兵士長はため息をつく。
「まぁリヴァイ。私がついてるから、心配するな。無事帰ってくるさ。」
「…………てめぇだから心配なんだろうが………。」
リヴァイ兵士長はぼそりと呟いて、エルヴィン団長を睨んだ。