第16章 姉弟
いつも通りの仏頂面で、手にはいっぱいの資料を抱えたリヴァイ兵士長がやってきた。
「あのクソみてぇな作戦の訓練の内容についてだが―――――――――」
二人は込み入った話をしだした。
私はコーヒーと紅茶をそれぞれ淹れ、彼らの側に置いた。私は二人が話す様子を見るのが、好きだ。
対照的な美しさを持つ二人が並んでいるのはとても絵になるし、敬愛する二人が同じ方向を向いている。
それだけできっと大丈夫だと思える。
私の視線に気付いたのか、二人がふと私の方を一瞥する。
「なんだ。」
「どうした?」
「……嬉しいんです。同じ時を共有できていることが。」
私の言葉の意味を掴みかねる、といった表情で、特にリヴァイさんは怪訝な顔をしていた。
「私も君がいてくれて、嬉しいよナナ。」
エルヴィン団長はいつも通り、そつなく、でも確実に相手を絡めとるような甘さで言った。
「……お前はいちいちくせぇんだよ。」
リヴァイ兵士長はいつも通り悪態をつく。
「あぁそうだナナ、明日の宿は取れているかな?」
「はい。」
「君は実家に?」
「いえ、家は捨てた身ですので。同じ宿に。」
「………あ?」
リヴァイ兵士長の不機嫌そうな声。