第181章 泡沫
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「――――っくしゅん!!」
部屋に帰って2人ベッドに腰かけて紅茶をすすりながら一服していると、ナナがまた小さくくしゃみをした。帰り道にも何度かくしゃみをしていたから、気になる。
「大丈夫か、もう何回目だ。」
「はい……誰かが噂してるんですかね?……どの類でしょうか。ふしだらな女か…、ケツが軽いとかでしょうか。」
ナナはなんでもないと、茶化して笑う。俺はナナの腹のあたりに腕を差しこんで半ば無理矢理、腕の中に収めるように背中から抱く。
「あっ、ちょ、紅茶こぼれる……!」
「寒そうにしてるから、温めてやってんだ。文句を言うな。」
「ふふ、―――――うん、リヴァイさんはいつも、温かい。」
「――――お前の身体が冷たいからな。」
「………いつもリヴァイさんはそう言うけど……その意味を、聞いてみたかったです。ずっと。」
「あ?」
ナナは甘えるように、首をこてん、と後ろに倒して素直に俺に身体を預ける。
ここに来てすぐの頃は、ずっと身体を強張らせて緊張したようにしていたのに。ふにゃ、と脱力して俺に全てを預けてくるその仕草も……愛おしくて仕方ねぇ。
「私の身体が冷たいから、リヴァイさんの身体と触れた時に感じる温度差で温かく感じるんだ。と、言う意味で言ってます……?それ。」
「――――そんな小難しいことは考えてねぇ。」
「あ、やっぱり。」
ナナは嬉しそうに、またふふ、と小さく笑った。