第180章 蜜月 ※
「リヴァイさん、まで、いなく……なったら――――……!」
「いなくならない。お前の側にいる。」
「……リヴァイ、さんは……きっと、行ってしまう……、私を――――……置いて……。」
この世界の真実が解き明かされて……どうにも絶望に近い状況らしいことが分かって……、それでも生きていたい俺達は、これから世界を相手に戦うことになるんだろう。
そうなったら先陣に立つのは間違いなく俺達調査兵団だ。
そしてそこにおそらく――――……ナナはいない。
それを分かっているからお前はこの部屋で暮らすことに応じたのか。この2人体を寄せ合って巣箱で眠るこの今が、決して長くは続かないことをナナは分かっている。
「――――たとえ一時離れても……ここに帰る。その為の部屋だ。」
「――――やだ、いや。離れたらもう、会えない。その目はもう開かなかった……!」
「ナナ。」
「鼓動も、体温もない……もし……もし、……っリヴァイさんまで……そんなことになったら――――……っ……。」
言葉を詰まらせながらも一生懸命に俺に縋って泣くナナの細く白い身体を強く抱く。
――――苦しい。
何度聞いても……お前の叫声は。
――――どんな心地だ。
自分が愛した男と共に夢見たもの……それを解き明かすために、その愛した男は死んだ。そして大きすぎる代償を払って手に入れた真実が……まさか自分たちの夢見た世界が、自分や愛する者を殺す脅威だったという残酷な現実は。
「ナナ。………過呼吸になるぞ。落ちつけ。」
「――――私が、ずっと、過呼吸だったら……。」
「あ?」
「――――リヴァイさんは……どこにも行かずに、ずっとキスしていてくれる……?」
「馬鹿野郎。お前が苦しいだけだろうが。」
「――――いいの………それでも、いい………。」
「――――………。」