第180章 蜜月 ※
“巣箱”
ナナがそう表現したが、まるでその通りに見えた。
夜中、窓から差し込む月明かりに照らされているのは、ベッドに丸まって眠るナナだ。素肌に薄いブランケットだけを纏うようにして、自分を守るように丸まって眠る。
ナナはきっと――――エルヴィンか俺の腕に頭を預けて眠る時以外は、こうやって眠っているのだろう。
この巣箱のような部屋に移って一週間。
移ってすぐにやはり風呂は必要だと、貸家のオヤジに交渉してみたところ、思わぬ安価で下の階の家を借りることができた。
――――そりゃそうか、この上の部屋を俺たちに貸した時点で、下に住みたがる奴なんていねぇだろうしな。
ナナにもう一度、下の家も自由に使えるのにいいのかと尋ねたが……ナナは甘えるように俺にぎゅっと抱きついて、
「ここだけでいい」と小さく呟いた。