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【進撃の巨人】片翼のきみと

第177章 勲章授与式





「なぁ……もうお前そろそろ黙れよ……。」



エレンが怒りを顕にしてフロックに詰め寄る。



「エレン……お前って腹の底じゃ、何だって自分が一番正しいって思ってんだろ?だから最後まで諦めなかった。聞き分けのねぇガキみてぇに……。」

「エレン、もういいから離れて。」



今にも殴りかかりそうなエレンをフロックから引き離そうとミカサも割って入る。



「その点ミカサはまだ大人だった。最終的には諦めたんだから。」



――――事実だとしても、だ。

それを今、アルミンの前で言う必要があるかよ。俺はさすがに、フロックを止めた。



「おい!!急になんだってんだよ!フロック、これから死んだ仲間を弔おうって式の場なんだぜ?」



近くにいたコニーとサシャも、只ならぬ雰囲気を察して集まって来た。



「フロック、なんでもう終わった話を蒸し返すんだよ?!」

「ジャン、コニー、サシャ……お前らは、上官に歯向かうわけでもなく……エレンとミカサを止めるわけでもなく……ただ見てただけだったよな。」



――――何も言い返せない。

そうだ、俺達は……、命の選択という重責から一歩離れて……、……誰かが決めてくれることを、ただ……待ってた……。





「何の勲章だ?誰を弔う?これから補充する調査兵団には本当のことを言えよ?!俺みてぇな腰抜けが間違って入ってこねぇようにな!!エルヴィン団長なしでこれからどうするつもりなんだよ?!そりゃ俺みてぇな雑魚……使い捨てるくらいしか使い道もねぇだろうが……、そんな雑魚にだってなぁ……!値踏みする権利くらいはあるだろ?!」



「………!」





自分を見ているようだった。



――――初めての壁外調査で……俺は巨人化の力を有したエレンを守るために命を懸ける作戦を前に、同じ事を確かに思った。

そして言った。

“命を懸けるに値するのか、きっちり値踏みさせろ”と。





フロックを責められない。





正常な思考で、正常な感情だ。





――――きっと、数多の地獄絵図を見て……死線を越えて……その感覚が麻痺しているのは………俺達のほうだ。





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