第176章 処
「ん……は……っ、ぁ………ねぇ……っ……リ、ヴァイ、っさ……。」
「なんだ。」
「どう、し、ても……兵舎……ん、ぁ。っ……出る、ん、ですか……?」
「出る。もう決めた。」
リヴァイさんの意志はどうやら相当固いらしい。
エルヴィンのことを考えながらも、私の命がもつ間だけでもこの人の希望を叶えてあげたいとも、ままならない思考の中で思う。
長いキスを終えてはぁ、とため息をつくと、どちらのものかわからない唾液がとろりと2人の間を繋いだかと思うと――――……ぽとりと床に落ちた。
「――――一緒に、戦って負った傷を、癒せれば……それで、いい……。」
「あ?」
リヴァイさんの手が、私のシャツのボタンをぷちぷちと手早く外して、首筋から唇を降ろしていく。
「――――広くない、鳥が帰巣する、巣箱みたいな……部屋が、いい、です……。」
「ねぇよそんな部屋。」
左腕でぐっと腰を引き寄せて、のけ反った私の体に覆いかぶさるように鎖骨から、胸のふくらみへと固く尖らせた舌を這わせていく。その感触にぞくぞくと背中が震えて粟立ってしまう。
「……っあ……!……っじゃあ、ここにいる……。」
「――――強情な女だな。」
「……希望を、言えって……っ…んぁ……っ、言った………。」
「――――ちっ………、狭けりゃいいんだな?」
「―――は、い………。」
はだけたシャツがはらりと身体から滑り落ちて、裸体をリヴァイさんに晒して……でも、そこに片翼のネックレスが光っている。
私の体が跳ねる度に揺れるそれを、とてもイラついた目でリヴァイさんが一瞥したかと思うと……私の首の後ろに手を回して、ネックレスを外した。
「――――あっ、だめ……!それは……!」
「終わったらちゃんと返す。」
「――――………。」