第176章 処
「――――それなら、部屋じゃなくても……家じゃなくても、もうあるじゃないですか。」
「あ?」
「――――ここに。」
リヴァイさんの首に両腕をまわして、強く強く抱きしめる。
「――――調査兵団が無くなっても、私の還る場所はあなたです。」
「――――………。」
「――――調査兵団が無くなっても、あなたが還る場所は………私……だったら嬉しいです。」
ふふ、と笑って愛おしい想いと一緒に力を込めてぎゅっと強く強く彼を抱く。
「―――当たり前だろうが。お前以外に誰がいる。」
「………嬉しい………。」
「――――お前の、人を丸め込む話しぶりがエルヴィンのそれと似ていて腹立たしい。」
「―――そればっかりですね。リヴァイさん、エルヴィン団長のこと大好きなんですね?」
「は?なんだそれは。気持ち悪ぃことを言うな。」
「だって好きじゃなければそんな口調や話の仕方なんて、いちいち覚えていませんよ。」
「…………。」
「――――私がエルヴィン団長の色に染まったから……余計にそそりますか?」
にたりと笑ってリヴァイさんの頬を少し悪戯につねると、苛立った表情で私の手をとり、その指をがり、と噛んだ。
「その生意気な目も、口調もエルヴィンのそれだな。」
「ほらまた。」
「――――お前の言う通りだ。最高にそそる。エルヴィンに抱かれて染められたお前を、また俺の色に染め変えて、エルヴィンのことなどぶっ飛ぶほどの悦楽に堕としきるその過程がな。」
「――――っう………!」
獰猛な口付けにはもう慣れた。
身を任せていると呼吸すらできなくなってしまうから、時折顔を背けて息を継がなきゃいけないことも知った。そしてまた間髪いれずに唇を塞がれる。
舌を絡めて吐息を混ぜ合う中で、響く水音の合間に部屋の事を再度交渉する。