第176章 処
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ピュレさんとジルさんとの面会を終えて、私達も騒然とする街に出た。
「うわぁ……無理もないですね、あんな事実を突きつけられたら……混乱もしますよね……。」
ぽそりと呟くと、リヴァイさんもハンジさんも小さく頷いて周りを見回した。あちこちで出どころの定かじゃない突飛な噂話や、最悪の事態を想像して悲鳴を上げる声、兵団の発表の仕方に異論を唱えて熱くなる罵声などがひっきりなしに聞こえてくる。
「――――さて、久々の調整日だし……。何か食べてく?」
ハンジさんが気分を変えようとでも言うように、空を見上げた後に私達のほうに向きなおった。
「はい!私行きます。」
「……ああ、俺も行こう。」
「おぉ!このメンツでごはんも実は珍しいよね?うんうん、腹ごしらえしないとね!正常な思考は健康から!!」
「――――飯を食ったら俺とナナは所用があるからな、ここで抜けるぞ。」
「えっ、やめてよリヴァイこんな昼間っから……連れ込み宿なんて……。」
「馬鹿か。こんな昼間っからなにすると思ってやがる。」
「…………。」
いや、ここ最近あなた朝昼問わずじゃないですか……と言いかけたけどやめた。自分の身の安全を優先して。
「えぇ本当に?だってこないだも気持ちの整理がつききらないナナに迫ってとんでもない回数抱い―――――――」
「ハンジさんっ?!」
秘密って言ったのに?!
秘密の意味とは?!
と焦りと怒りを込めてハンジさんの口を両手で押さえつけて塞ぐ。私が変なことを喋ったって、リヴァイさんにバレたかもしれない……とそろりとリヴァイさんの方に目をやると、案の定……『てめぇ何かクソメガネに言いやがったな?』という表情で腕を組んで私を睨んでいる。