第175章 思惟
「――――兵舎の近くに部屋を借りるか。」
「――――え………?」
ぐったりとリヴァイさんの横でうつ伏せに伏せて息を整えていると、隣に添って私の腰をさすりながらリヴァイさんが低く呟いた。
「なにもこんな狭い部屋に2人で住まなくても、部屋を別に借りりゃいい話だ。」
「………いや、2人で住む用の部屋じゃないんで……私が自室にいればいいだけの話じゃ……。」
「何回言わせんだ。お前を側に置く選択肢しかねぇっつってんだろうが。」
「――――……なら、別に私は狭くても大丈夫ですよ……。」
他の場所に部屋を借りて2人で住むなんて、まるで結婚したみたいなことは……さすがにできない。結婚しない意志で少なからずエルヴィンを傷付けたんだから。
「………ここに、みんなの側にいましょうよ……、私は……いたい……。」
「――――ここだとお前が声を我慢するからな。」
「は……?」
「――――耐える姿も、耐えられずに漏れる鳴き声も悪くねぇが………、存分に聞きたい。お前の子猫みてぇな声が。」
まさかそんなことのために別で住もうと言うのか……、どれほど私に熱量が傾いているのか、怖くなるほどだ。
――――いやでも、そんなわけがない。
この人は何か考えてる。……私よりずっとずっと思慮深くて、観察眼に優れているから……。
「――――リヴァイさんはエロ兵長すぎます。」
「うるせぇ、リンファみたいな物言いはやめろ。」
「――――本当の理由はなに……?」
「――――………。」
私の小さな問に、一瞬目を見開いた。
ほら。
あるんでしょう、やっぱりなにか。