第175章 思惟
そしてその夜、ハンジ団長とリヴァイ兵士長、サッシュ分隊長と私の4人で今後の事を話し合った。
調査兵団の拠点をこのままトロスト区に置くのか、もとのウォール・ローゼ内の元の兵舎に戻すのかといったことだ。調査兵団本部に戻すことはゆくゆく考えるが、現状の調査兵団の構成人数的に見ても十分ここで過ごせること、これからウォール・マリア内の巨人の掃討や、それが完了した後に控えるウォール・マリア外への壁外調査においてもトロスト区を拠点とした方が動きやすく無駄がないことから、このままトロスト区支部兵舎に留まることになった。
――――調査兵団本部に遺して来たエルヴィン団長の私室と団長室に……いつか帰って、私物の整理や資料の整理をしたい。
ハンジさんの研究室の整理も……モブリットさんがきっと心配しているから、いつか……。
危機的状況であり今後外の世界からの襲撃への備えを余談なく続けなければならない時に、私は見当違いなことに想いを馳せていた。
話は決して明るい話題ばかりではなかったけれど、それでも……こんな状況であってもまた前を向くこの調査兵団が、やっぱり私は大好きで。エルヴィンが私たちを、見守ってくれているといいなと思う。
その後ろめたさから、エルヴィンの事を想うことが憚られていたのだけど……ハンジさんが受け入れて、そして笑ってくれたから……私はまた、素直にエルヴィンを心に思い起こすことができた。
「――――で、リヴァイ。ナナの病気の容体はどうだった?」
「あぁそれ、俺も聞きたいっす!」
ハンジさんの問にサッシュさんが明るく声をかぶせる。