第175章 思惟
「――――いえ、言い訳をするのはやめます……!ハンジさんには軽蔑されて、しまうかもしれないですが……!私は……リヴァイさんが差し伸べてくれた手をとって、一緒に……生きていきます……!」
ハンジさんは本当に驚いた顔をして、席を立って速足で私に近寄ると――――、いつものように、変わらず、私をがばっと抱きしめた。
「――――ありがとう、ナナ。」
「えっ…………。」
罵られこそすれ、御礼を言われるようなことは何もないのに………。戸惑いを隠せないまま呆然としていると、ハンジさんがゆっくりと私の髪を撫でながら、言った。
「――――リヴァイにナナを託したのは、エルヴィンの意志だ。私にはわかる。」
「――――………。」
「――――まぁ意地の悪い男だからね、自分は何かしらの手段で必ずナナの心に居座り続けながらも――――、確実にナナを愛し抜いて守れるリヴァイをに託す。抜け目ない奴の、考えそうなことだ。」
ハンジさんはふはっと笑った。
「それにリヴァイがどれだけ、ナナを想っているかも………私は知ってるから。エルヴィンが自分にナナを守らせようとしていることすらもわかってて、その意志を受け取ったんだろう。つまるところ、あの不愛想で不機嫌で口の悪い人類最強は、どんな口実であっても、エルヴィンの差し金であってもナナの側にいたいんだ。笑っちゃうよねぇ?」
「ハンジさん………。」
ハンジさんは私を抱き締めていた腕を解いて、ぽんぽんと私の頭を軽く撫でた。
「――――まぁ普通に見れば、ナナはとんでもない女だろうけど!」
ケラケラと笑うのは、私を元気づけようとしてくれているんだとわかる。