第174章 燈
「――――リヴァイさん……?」
「…………ナナ………捕まえた………。」
「起きてるじゃないですか。放してください。」
「……………。」
「えっ。」
よくよく観察すると、またすぅすぅと寝息をたてながら、少年のような可愛い寝顔で……――――眠ってる。
「寝言………?」
初めて聞いた。リヴァイさんの寝言。お行儀よく静かに眠る人なのに。――――夢に私が出て来るほど、この時間が幸せだということなのだろうかと、少し嬉しくなる。
「――――リヴァイさん。起きましょう?朝ごはん、食べないと……昨日も何も食べてないのに。」
「――――………。」
「ねぇ、リヴァイさ……―――――えっ。」
ぐるん、と視界が反転して、それは一瞬だった。
背中をシーツに沈められて、もう昨日で十分見た、私を見下ろす黒い瞳。
「――――起きてる。」
「おはようございます。」
「ああ。」
そう一言だけ零すと、眠そうに目を細めて私の身体の上に体重を預けて、首筋に顔を埋めた。
「ちょ、またそうやって寝ちゃダメです……朝ごはん食べて、帰らないと。」
「………そうだな。だが朝飯前にもう一回……」
「しません。」
「あ?」
リヴァイさんが不機嫌そうに顔を上げた。
「しすぎです。リヴァイさんもいい歳なのに、無理はダメです。」
「――――エルヴィンほど歳じゃねぇ。」
「……そもそももう一晩で何回したと……最高記録じゃないですか。ダメです。」
「ヤりたいもんはヤりたい。」
「ちょっと、あちこち……痛いので許してください……。」
困ったようにリヴァイさんを見上げると、バツが悪そうに舌打ちをしてようやく私の上からどいて、ベッドに腰かけた。