第15章 相愛
「………ああすまない。いいものだな、と思うとつい手が出てしまう。」
エルヴィン団長はふふ、と笑ってその手を放した。私は飛び出しそうな心臓を押さえつつも、平静を装って笑顔を返した。
「いえ。では、お先に失礼させていただきます。」
私は部屋を後にした。
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エルヴィンはナナが部屋を出たあと、椅子にもたれかかるとぼそりと呟いた。
「所有印のつもりか。随分可愛いことをする………」
欲をわずかに滲ませた視線を向けても、以前のナナは頬を赤らめはするもののその意とするところはわかりきっていない様子だった。
が、途端に理解し、平然を装って回避した。
「さて、どう変わるのか………楽しみだな。」