第15章 相愛
私は文書を取り出すと、一読した。
「再来週……夜。ですか。これは、私が一人で………?」
「いや、これは執務だ。さすがに一介の兵士である君一人で行かせるわけにはいかない。私も行くよ。」
私は心から安堵した。私情を挟まずに仕事ができる自信がない……だけど、エルヴィン団長がいてくださるなら、なにも怖くない。
「ありがとうございます……!」
「はは、団長として当たり前のことだよ。こんなことで感謝されるとは、役得だな。」
エルヴィン団長はコーヒーを口に運び、私の方を見た。
「……リヴァイにしか似合わないと思っていたが、君はなんでも似合うんだな。」
「えっ………。」
エルヴィン団長はにこやかにトントンと自身の首を指した。
「あ…………。」
私は少し動揺し、慌てて視線を落とした。
「さて、話は終わりだ。もう下がってくれて良いよ。再来週の夜は、空けておいてくれ。」
「は、はい!」
空になったカップを下げようと、エルヴィン団長の傍らから手を伸ばす。
その時ふと、エルヴィン団長の指が私の首筋からクラバットに触れた。
「!!」
私は驚いて硬直する。
触れた意図を確認したくて、エルヴィン団長の方に少し顔を傾けると、高い位置で束ねていた髪の毛先がエルヴィン団長の指にかかる。
こんな近くで蒼い瞳を覗いたことはなかった。
吸い込まれそうな蒼さ。
心の奥底から、これ以上踏み込んではいけないと声がする。
……心臓が跳ねる。