第173章 情炎② ※
「………泣いて、る………?」
「………泣いてねぇよ馬鹿………。」
「リヴァイさんが泣いたら………涙を掬うのは……私に、させて……下さい………。」
「………泣いてねぇって言ってんだろ。」
「………あなたの強いところも弱いところも、愛してます………。」
「――――……やっぱりお前は人類最強だ………。」
情けないところを見せてばかりだ。
人類最強の兵士、調査兵団兵士長のリヴァイとしてお前が憧れてくれた男とはほど遠い、女に溺れて嫉妬に駆られて――――……自分のことも上手くコントロールできない哀れな男だ。
だがお前がそれも含めて俺自身を愛してくれるから。
思えるんだ、“生まれてきて良かった”と。
「――――ダメだナナ、まだ足りない。抱く。」
「………ふふ、はい……。まだ、時間はたっぷりあります………。」
「――――大雨を降らせてくれた神様とやらに、感謝する。」
「………リヴァイさんは神様を信じないのに?」
「――――言っただろうが、“お前の信じるものなら信じられる”と。」
「………心底愛してるんですね、私のこと。」
「今更かよ。心底どころか自分でも引くほどだ。」
「……リヴァイさんの冗談は……わかりにくいけど………、リヴァイさんの愛情は、嫌と言うほどよくわかる………。」
「――――もっともっともっと、わからせてやる。お前をどれほど愛してるか。」
ぎらりと欲望の滾った目を向けて覆いかぶさると、ナナは困った顔をしつつもこの上なく優しい笑顔を見せて―――――俺を優しく引き寄せて、全てを受け入れるように何度も何度もキスをした。
それから空が白むまで、ナナはまた何度か意識をトばしながらも俺に応え続けた。