第173章 情炎② ※
「――――ッあ………。」
何度か体位を変えて後ろから腕を強く引きながら最奥を深く突き上げると、小さく潮を散らした瞬間ナナがかくん、と脱力してベッドに伏した。
「………おいナナ。」
「―――――………。」
「トんだか。」
――――かなり激しく突いたからな。
俺自身も息が弾んでる。病気のこともあるのに、こんなに体力を削り取るような抱き方をしていいわけがない。
――――が、抗えない。
もっともっと繋がりたい。
混ざり合いたい。
ナナを仰向けに返すと、涙と涎の痕をつけたまま、焦点の合わない虚ろな目をしてはぁはぁと早い呼吸の中、時折息を引きつらせている。
その頬をいつものように、すり、と手でなぞる。
――――何度こうして、お前が俺を見て僅かに染めるその頬に触れるだけの拷問めいた瞬間を耐えてきたと思う?
何度こうして、頭の中で想像してお前を犯しまくったと思う?
「――――ナナ………、俺を見ろ。ナナ。」
焦点の合わない目はまるで………俺の向こうにいるエルヴィンを見ているようで………そうじゃなく俺をその目に映したくて、頬に手をやって情けない声色で耳元で囁く。
「ナナ。好きだナナ。可愛いナナ。俺は――――……ずっと、欲しかった。お前が。」
ナナはふっ、と小さく息を吐いたかと思うと、ゆっくりと首を動かして、俺の手に頬をすり寄せた。
――――そして、柔く穏やかに、確かにその両眼に俺を映して、笑んだ。