第173章 情炎② ※
――――ふと、ワーナーさんがくれた私への手紙を思い出した。
ノートや書物を私に預ける、と書かれていて……私はそれを、使命だと受け取った。だから外の世界へ行かなきゃいけないと、ワーナーさんの魂を引き継いで私が、海を越えて行かなきゃいけないんだって。
あの時確かに私の中で、自分の夢が少し重く、強いものに変化した。
―――――リヴァイさんが思い出させてくれたとおり、きっとワーナーさんは……私にそんな負荷をかけるつもりは毛頭なかったんだ。
ただ私の夢が叶いますようにと、その足掛かりに自分の書物たちが役立てばいいと………そんな温かい愛情で私に遺してくれた。
――――いつだって人は、受け取りたいように、自分に都合のよい事実に解釈する。
――――でも、それが全て悪い事だったとは思わない。
だって、その使命感が無ければ……きっと私は、リヴァイさんの手を離れてエルヴィンの横に並ぶ選択をしなかった。
その選択をしたから、エルヴィン・スミスという人を知って……愛して、愛されて……色んなものを見て、色んなことを知った。
ワーナーさんの手紙からあの時は使命感だけを強く受け取ってしまったけれど、私も思い出した。
文末には確かに、私宛の手紙にも――――リヴァイさんのことが、書かれていた。
「私へのワーナーさんの手紙にも……そう言えば……リヴァイさんのこと、書いて、あった………。」
「なんて書いてあった?」
「…………。」
「おいナナ?」
「………なんだっけ。」
「あ?」
「………だってもう3年も前ですし……!帰ったら、もう一度読み直します……!」
「――――俺はじじぃからの手紙に散々振り回されたってのにお前は………。」
「やっ、あの、ちゃんと外の世界への話は覚えてますよ……!でも、リヴァイさんのことはあの時……!」
「――――お仕置きがいるな?」
「――――ひ……っ……!」