第173章 情炎② ※
「――――リヴァイさん。」
「なんだ。」
「………リヴァイさん。」
「だからなんだ。」
何度も名前を呼ぶ私に少し苛立ったような言葉で返すけれど、その表情は優しくて。
額、瞼、目尻、頬、そして唇に掠るように小さなキスをたくさん降らせてくれる。その度に私は目を閉じてそのキスを愛情として受け取りながら、泣きたいくらい愛されていることを思い知って――――……たまらずまた彼の首に両手を回して抱きしめ、引き寄せる。
「リヴァイさん、リヴァイさん………。」
「イきすぎて頭壊れてんのか?なんだ。」
「……待っててくれて、守ってくれて、愛してくれて………ありがとう………。」
「………ああ。」
リヴァイさんもまた私の背中に腕を回して身体をぎゅっと抱きしめながら、ちゅ、ちゅ、と小さくキスしながら、私に覆いかぶさっていた体勢から私の隣に寝そべった。
でもしっかりと、その体は抱いたままだ。
「―――……まったくだ。まんまとワーナーの思い通りってわけだな。悔しいが。」
「ワーナーさんの………?」
何の話だろう。
ワーナーさんがもちろんリヴァイさんにとって大切な人で、リヴァイさんが幸せに生きていくことをワーナーさんも望んでいたのも知ってる。
「あのじじぃは、幼いお前を俺に守らせることで………守るべきものに俺が生きる意味を見出すことも、そしておそらく………成長したお前に俺が惹かれることも、わかってた。」
「…………。」
「“エイルを守り、育て、導け。エイルは、お前の生きる意味・希望になる。最愛の存在になるだろう。”――――そう、俺宛の手紙に書かれてた。」
――――驚いた。
当時からワーナーさんがリヴァイさんをとても信用していて、可愛がっていて……その彼を、私の送り迎えにつけるようにもっていったのは、私を守るためだと思っていた。
けれど……リヴァイさんにとってもきっと良い作用が起こると見越していたなんて。