第172章 情炎 ※
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――――さっき1回、終わったと……思ったけれど、リヴァイさんは私の身体を拭って抱き起こし、せっかちにすぐにまた立ち上がるそれを私の中に埋めた。
生まれたままの姿で向かい合って抱き合いながら、私の中を熱く固い杭が何度も貫く。
――――きつくきつくお互いの身体を引き寄せながら言葉も忘れて、唇を食べ合って――――……彼は時折私の顔を両手で押さえつけて、親鳥が雛に餌を与えるように、とろりと、自分の唾液を分け与える。
……受け止めきれない、飲み切れないそれが私の口の端から糸を引くように吐息と一緒にたらりと零れて、顎の先まで流れついてから、胸の間に落ちる。
それをまた舌で掬って、そのついでに胸の頂を甘く噛んで、唾液に塗れさせながら上目遣いで私を射る。
――――なんて毒々しい色気を放つんだろう。
エルヴィンの放つ、私を内側から徐々に蝕んでいく甘い毒とはまた違う。
一度体内に取り込んでしまえば、もう抗えない。
思考が遮断されて、体が痺れて、嬌声を上げて善がるしかできなくなってしまう、即効性のある魅惑的で強烈な毒――――……。
決して新しくない宿の木製のベッドが、下の階の人に申し訳ないくらいに軋んで揺れる。
まだ眠るような時間じゃないから、大目に見てもらえるだろうか……。とそんなことを一瞬でも考えた自分をこのあと私は呪うことになる。情事の最中に他の事を一瞬でも考えたことに、冷めた声でささやかれた。
「――――何考えてる?」
「……っ、な、にも…………。」
「―――嘘つけ。なにか考えてただろう。随分余裕じゃねぇか。手加減する必要もなさそうだ。」
「えっ、待っ……、あっ!!」
少し苛立ちを見せたリヴァイさんは抱き合っていた私の身体を乱暴に組み敷く。
気持ちを通わせた後は、このまま甘く穏やかな夜を過ごせると………少しでも期待した私が間違ってた。
私が迷いなく気持ちを向けたことに安心してか、いつもの――――……意地悪でいやらしくて、私を翻弄するリヴァイさんの本性が出始めた………。
「――――もう随分顔も見たよな?」
「っ……?!」
簡単に腰を腕で引き上げられ、うつ伏せにさせられて……肩をベッドにぎし、と音を立てて乱暴に押し付けられる。