第171章 感応
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息を継ぐ暇さえ与えて貰えないほどの想いをぶつけられながら、精一杯それに応える。
涙が出る。
それは紛れもない罪悪感と………
恐ろしいほどの愛おしさと………
――――――魅惑的快感の狭間。
いつか思った、この世で唯一リヴァイさんにしか行使できない―――――心臓を丸ごと鷲掴みにして引きずり込まれるような引力をこの身に受けて―――――それに応えるように私は彼の頬に両手を寄せて、口付けに応えながら……力の限り、引き寄せていた。
やがてその唇は私の頬から耳へ移り、愛しいと、離れがたいと言いたそうにちゅ、と小さな音を立てて離れた。
リヴァイさんが身体を起こすのをぼんやりと眺めながら―――――ずっと、まだ……繋がっていたいと、乞うように彼に右手を伸ばす。
するとその手をきゅ、と彼が握る。
驚いた。
その手が、震えているから。
「――――どう、したんですか……?」
「………怖い。」
「………こわい……?」
「――――お前を抱くのが。」
「……………。」
苦しそうに眉間に皺を寄せて目を細めて、ぎし、とベッドを軋ませて私を囲うように手をついて、私を見下ろす。
「――――初めてじゃ、ないのに……?」
「――――3年も抱いてねぇんだ……。長ぇよ、馬鹿野郎……。」
「………でも、初めての時は……8年待ったって……でも、震えてなかった……。」
その目を見上げて疑問を投げかけると、バツが悪そうに、『お前は何もわかってない』とでも言いたげに………少し苛立った様子で、がぶ、と唇に食いつかれる。
「――――ん、むっ……!……ぁ、はっ……ぅ………。」
また思考を奪われるような口付けをされて、蕩けた脳内のまま彼を見上げる。
「――――お前を知らない8年より、お前を知っちまってからの3年の方が………気が遠くなるほど長かった。」
「………ごめん、なさい………。」
「………くそ………情けねぇ……。」
まだ小さく震えるリヴァイさんが愛しくて、愛しくて。
彼の恐怖を、なんとか取り去りたいとまたその頬に手を伸ばす。