第171章 感応
――――――――――――――――――――
――――誰の代わりでもない、俺を。
1人の女の正しい愛し方すらわからない、俺を。
―――――ナナは受け入れた。
投げやりでも、後ろめたさでもなく、俺に言わされたからでもなく………。
ナナ自身の意志で。
心臓が潰されるような高揚感。
全身が脱力しそうな安堵。
体が震えるほどの歓喜。
そして、抱きしめて潰してしまいそうなほどの興奮。
それをなんとか抑えながらナナの息を遮るほどにキスをする。
「――――ん……っ、はっ……、……んぅ――――……!」
苦しいのだろう、逃げ出すように顔を背けて息を継ぐナナの唇をまたすぐに捕らえる。
やがてナナも俺を欲するように、その華奢な両手で俺の頭を包み込んで、貪欲に引き寄せる。肌が触れあうと、ナナの身体が熱を纏っていることに気付く。真っ白な肌が薄紅色に色づくのを目の当たりにするのも、いつぶりだ。
そんな些細なことでくらくらする。
あまりにも刺激が強くて、俺のほうがどうにかなりそうだ。
―――― ナナの頬から耳へと唇を移して……………体を起こした。
唇を離すとナナは薄く瞼を持ち上げた。
その表情は、まるで『もっと』とねだるようで………知らぬ間になんて顔をするようになったんだと―――――少しの驚きと悔しさが込み上げる。
「――――リヴァイ、さ……ん……?」
俺が身体を離した意味を探るように、熱に浮かされるように、息をあげて俺に手を伸ばす。
俺の知るナナとはまた違う女のようで……でも確かに俺が愛している女…… ナナであって……、それでなくても久しぶりにこうして身体を重ねるというのに……
何年も溜め込んで来た想いと欲……、更には新しいナナの一面にまた引きずり込まれそうで………本当に俺は理性を保てるのか……?
散々傷付けたくないと言って来たくせに……今、俺が俺を一番信用できない。
なにもかも崩壊して、
本当にナナが壊れるような抱き方をしてしまいそうで………
触れることを、躊躇ってしまう。