第171章 感応
「……何が、怖いですか……?」
「――――お前を、壊しそうだ………。」
「――――壊れない……大丈夫です。」
「――――病気のこともあるのに、無理をさせたくない……が、抑えられる自信もねぇ………。」
いつも強気なあなたが、そんなにも怖がるほど――――、愛してくれているんだと、大切にしようとしてくれているんだとわかる。
――――――嬉しくて、また涙が零れる。
だから私も返そう、この身全てで。
「――――じゃあ、もし……壊れて、腕や脚がとれそうになったら………。」
「………あ……?」
「こうして抱いて、繋ぎ止めてくれたらいい………。」
リヴァイさんに向かって両手を広げると、そこに吸い込まれるようにリヴァイさんは身体を重ねてくれる。その背中に両腕をまわして、強く強く、抱きしめる。
私の心が壊れかけた時に、何も言わずにそうしてくれたみたいに。
「………それにね。わかりませんか?」
「あ?」
リヴァイさんの頬に手を添える。小さく、かたかたと震える手を。
「――――私も……怖い。」
「――――なにが怖い?」
「――――変わってしまった私を、リヴァイさんが嫌いになったら、どうしようって………。」
「嫌うわけねぇだろ。俺を舐めるな。どれだけお前に惚れてると思ってやがる。お前のおかげで散々みっともねぇクソみてぇな自分に絶望しながら、こうやって虚勢を張ってお前を抱こうとしてんだ。」
「………ふふ、はい……。――――それも、私も同じです……。私の心も、まだぐちゃぐちゃです。リヴァイさんのおかげで。」
リヴァイさんの顔を引き寄せて、睫毛が触れる距離でそれを囁く。その黒い瞳に、3年前よりも少し大人になった自分が映る。
あなたの瞳は――――変わらない。
ずっとずっと、私をその目に映し続けてくれた。
「――――ナナ。……ナナ、ナナ……。」
その全てを守ろうとする逞しい両腕で、私の身体をきつく抱く。
―――――そしてまた、息を継ぐ暇もないほどのキスを交わした。