第171章 感応
「言えよ……。どうして欲しい、ナナ。」
リヴァイさんは私の顔の横に両肘をついて、逃げられないように、くまなく私の表情も、声も、言葉も逃さないように、両手で私の顔を包む。
この上なく切なそうにその目を細めて、熱に浮かされるように息を荒げながら泣く私に問う。
「――――っ……その腕に……抱きしめて……っ…。」
次の瞬間、息が止まるかと思うほど強く強く、体を締め付けるように抱かれた。
「――――おかえり、ナナ。」
「――――っリヴァイ、さ……。」
「――――……っ……やっとまた……この腕に抱けた………。俺の……生きる、意味――――………。」
私の首筋に顔を埋め、息を荒げるリヴァイさんの髪に顔を埋める。
また頬に手が添えられたかと思うと、壊れ物を扱うみたいに優しく……でも少し強引に後ろに引かれて――――顎が反ったその瞬間、視線が交差した。
どくん、と大きな音を立てて心臓が跳ねたその時、ゆっくりと、これまで見たことがないほど泣きそうな顔で切なく目を細めたリヴァイさんの唇が、震えるように私の唇に触れた。
なぞるように、確かめるように唇を合わせてから――――……私の閉ざしていた心を開くように、舌を割り入れて繋がる。
―――――こんなに優しいキスは、どれくらいぶりだろう。
徐々に熱を帯び、思考が遮断されそうになりながら、ひたすらに増す熱量に応えるように舌を差し出す。
彼の頬に手をやって……ただ夢中で、キスをした。
息があがり、唾液と吐息が混ざり合う中――――……私は心の中でエルヴィンにもう一度あの手紙の意味を問いかける言葉と……、本当にこれで良かったの?と自分に問いかける言葉を描いたけれど――――
とても考えさせてくれる猶予など与えてくれなくて。
それはやがてリヴァイさんにもたらされる熱によって、頭の片隅に追いやられていった。